私は、SMクラブで「女王様」として5年以上働いています。
特殊な仕事ですから、変わったアクシデントも多々起こります。
これまで働いてきて、多少の事では動じなくなった私。
そんな私でも、未だに思い出すと笑ってしまうような、おかしなアクシデントについて書いていきます。
手錠の鍵を忘れた話
私が新人女王様だった頃の話です。
その日私は、お客さんのご要望で、初めて手錠をプレイに使うことになりました。
それまでは、綿ロープや革製の拘束具での拘束しか、したことがありませんでした。
手錠は個人的に持っていなかったので、事務所においてあるお店の備品の手錠を借りて、プレイに持っていきました。
バタバタしていたので、手錠の使い方について確認せずにプレイに行ってしまったのです・・・。
ですがとくに深く考えず、(とりあえず使ってみよう)なんて思っていました。
ホテルに着いてお客さんとお話。
「拘束されて、ロウソクを垂らされたい」とのご要望。
お客さんはシャワーを浴び、私はボンテージに着替えてプレイの準備をはじめました。
手錠やロウソク、ローションなどをベッドの近くにおいて、準備は万端!
お客さんがシャワーから出てきて、プレイが始まりました。
いつものように女王様モード全開で、お客さんをリード。
恥ずかしがっていた彼も、次第に羞恥心よりも興奮が勝ってきた様子。
手錠をかけ、彼をベッドに押し倒しました。
ロウソクを垂らしながら、彼のペニスを刺激。
熱さに悶えながらも、気持ちよさそうな表情を浮かべていました。
そしてそのままフィニッシュ。
満足げな様子で、私も嬉しく思いました。
・・・そんな雰囲気もつかの間、手錠を外そうとした私は、ここでやっと気づいたのです。
(あれ・・・?これってどうやって外すの??)
動揺を悟られまいと、何食わぬ顔で手錠を外そうとしますが、どうやっても外れそうにありません。
彼にその旨を伝えると、焦った表情に。そりゃそうだ。
その後数分、手錠を外そうと試行錯誤しましたがびくともしません。
どうしようもないので、お店に電話しました。
するとスタッフが、
「あれ!?手鎖は鍵が必要ですよ!持っていかなかったんですか!?」と・・・。
(いや、聞いてないし!)と思いましたが、まあ、確認しなかった私が悪い。
幸いホテルは事務所から近かったので、取りに行くことにしました。
お客さんにそれを伝えて謝りました。
優しい方だったので怒らずにいてくれて安心しました。
光の速さでボンテージから私服に着替え、事務所までダッシュ。
スタッフから手鎖の鍵を受け取って、ホテルへとんぼ返りしました。
無事手鎖は外れ、お客さんには何度も謝って、事なきを得ました。
それ以降、プレイに手鎖を使う際には、何度も何度も鍵を確認する私でした。笑
ボンテージが脱げなくなった話
その日は、常連のお客さんのDさんとプレイをしていました。
Dさんは、私が入店の頃から何年も着ている、エナメルのボンテージが大好きでした。
フロント部分にジッパーの付いた、タイトなワンピース。
長く着ているせいで、そのジッパーが壊れてきていて、動かしづらいことが度々ありました。
でも、Dさんは毎回その衣装をリクエストしてくるので、私はそれを着続けていたのです。
プレイが終わり、Dさんがシャワーを浴びている間に、片付けと着替えを始めました。
片付けは順調に進んでいたのですが、ボンテージを脱ごうとした瞬間、異変に気づきます。
ジッパーが全く動かないのです。
これまでは動かしづらい程度で、力を込めればなんとかなっていました。
ですがその時は、どこからどう引っ張っても、1ミリも動かなかったのです。
もうすぐDさんがシャワーからもどってきそうでした。
ボンテージが脱げなくて焦っているような、カッコ悪い姿を見せるわけにはいきません。
仕方なく、ボンテージの上から服を着て、あとで脱ぐことにしました。
何事もなかったかのように振る舞い、ホテルで解散。
ひとまず無事に事務所へ戻ることができました。
スタッフに事情を説明して、脱ぐのを手伝ってもらうことに。
しかし、誰がやってもジッパーは動きませんでした。
他になすすべなく、ボンテージをハサミで切って脱ぐことにしました。
入店当初から私とともにプレイをこなしてきたボンテージ。
悲しい最期でした。
聖水が出なくて頑張った話
この時私が所属していたお店には、「聖水オプション」がありました。
聖水・・・つまりおしっこのことです。
そのお店では、聖水オプションを来店の際につけることができました。
つまり、事前予約なしでも、聖水オプションがつけられるんです。
プレイの時間まで余裕があればよかったのですが、その日は大変でした。
お店のスタッフからすぐにプレイに行くよう言われ、バタバタと準備。
すると、聖水オプションがついていることを告げられました。
すぐさまペットボトルのお茶をガブガブ飲み、ホテルへ。
ホテルに到着し、お客さんとプレイについて話をします。
オプションについても確認し、料金のやり取りも問題なく済みました。
お客さんにシャワーを浴びに行かせ、その間に、プレイの準備を進めます。
ふとスマホを見ると、お店から連絡が。
この後すぐ、別のお客さんとのプレイの予約が入ったようです。
しかも、そのプレイにも聖水オプションがついているんです・・・。
(なんだ今日は?聖水の日???)
と若干パニックになりながらも、とりあえずプレイに臨みました。
そのプレイでは順調に事が進み、聖水もしっかり出せました。
しかし「出しきった感」があり、次のプレイまでにまた溜まるだろうか・・・という不安が頭をよぎりました。
そして、その不安は的中してしまうのです。
1件目のプレイを終え、息をつく暇もなく2件目のプレイへ。
もちろん次の聖水オプションのために、お茶をまたガブガブ飲みつつ向かいました。
同じ段取りで、またプレイが始まります。
聖水は基本的にプレイの後の方で出すことが多いので、まだ余裕がありました。
しかし、一向に出せそうな気配がありません。
内心焦りつつも、お客さんの前では平静を装います。
さりげなくプレイ中に何度もお茶を飲みますが、尿意のないままプレイ終盤にさしかかってしまいました。
しかし、(出そうとすれば出るかも)と思った私は、出す体制に入りました。
待ち受けるお客さん。
・・・まだ出る気配がありません。
意図せず焦らしプレイが始まってしまいます。
プレイ時間はあと数分。
無駄なスリル。
出なければ返金対応です。
私は目を閉じ、水が流れる様子をイメージしました。
・・・すると、やっと、出たんです。
安堵する私。
量が少なくて不服そうなお客さんの表情を見なかったことにして、プレイを終えました。
当時は必死でしたし、お客さんに申し訳ない気持ちもありました。
しかしよくよく考えたら、無理のあるスケジュールでプレイを入れるお店が悪いですよね。
今は別のお店に移籍して、そんな無茶苦茶なスケジュールは組まれなくなったので、こういったアクシデントもなくなりました。
おわりに
この他にも、SMクラブで働いていると、おかしな出来事に遭遇することがたくさんありました。
冷静で動じないように見える女王様でも、私のように、内心パニックになっていることもあるのかもしれません。
(女王様って大変な仕事だなあ)と、つくづく思います。笑